澱のようなもの

三十路のオッさんの雑記帳として

追悼:ブサイククエスト第2弾 夜中の邂逅

7月某日。僕は個室ビデオボックスにいた。

オナニーするためではない。

電話(LINE通話)をするためだった。

 

相手はチホちゃん(27)。2週間ほど前にアプリで友達になった。

前々回の記事で紹介したアプリだ。

 

 

無駄に、ずいぶんとノリのいい子で、アプリ上でのやり取りは盛り上がった。

「このノリについて来れるシンちゃん好きやわーー笑」 的な感じ。

こういった言い回し、すごく文系オタの内輪ノリっぽくてすげえどうでもいい。

「シンちゃんが近くにいたらぜったいクンクンしちゃう」

「そういうとこ好きー」

みたいな、特に何をしているわけでもないのにやたら距離を縮めてくるタイプだったし、こちらも好きと言われて悪い気はしない(ちょろい)のでノリ良く返していた。

 

そんな感じで日に何通かメッセージをやり取りしていたが、こちらからは積極的に攻めて行くことは一切なかった。

理由は2つほどある。

1つ目は、このチホという子はプロフ写真を一切掲載しておらず、地雷(デブ・ブス)の可能性があったので正直あまり乗り気にならなかったこと。

2つ目は、僕の経験上、この手のアプリ上でノリのいい子は、相手に共鳴して調子に乗って押していくと意外にアッサリ身を引いたりする傾向がある。つまるところネット弁慶的なところがあるので、向こうから何かのアクションがあるまで待つのが良いと思っていたからだ。

 

 

前もどこかに書いた気がするけど、ネットナンパの基本は同時複数展開だ。

この時も、複数のアプリの“プロフに既婚情報あり”の子やそのほかめぼしい相手にメッセージ絨毯爆撃を行い、反応があった4人ほどとやり取りが続いていた。チホはそのうちの1人だったし銘柄としての優先順位は決して高くなかったため、この子に対しての基本姿勢は“待ち”に設定していた。

 

とはいえ、やはり転機はやってくる。

 

その日、19時頃に仕事を終えて電車に乗り込んだ僕は、久々にハプバーにでも行こうかと考えていた。

五反田へ向かう電車へ乗り換えて、何気なくいつものアプリを開くと、メッセージ到着を知らせるマークが点灯していた。チホからだった。

「遅くなってしまった…シンちゃんいるかな」

「ダメだぁぁぁぁ 定期的に人恋しい波が来るーーー(;;)」

 

なんだか知らないが仕上がっていた(笑)。

「おるでー。大丈夫。夏だからセンチメンタルな気分になるんやで…」

「いたー!良かったー。寂しさで発狂するところだった。夏だからかな?」

「寂しさで発狂てw 旦那さんは近くにおらんの?」

「旦那今日飲み会で帰ってこない(*_*) なので1人!発狂します!←

だからシンちゃん…うぅぅぅ。

夏嫌いーー!というかもうダメだーーー!ぎぃやぁぁぁ」

 

勢いがひどい(笑)

しかしこれは確実に流れが来ている。とりあえずハプバーはお預けにしよう。

新宿方面への電車へ乗り換えた。

「あぁ、そうなんだ、それは寂しいね…。通話する?

本当は会いにいってあげたいくらいだけど…。」少し距離を測る。

「通話(;;)? してくれるの? 是非ともお願いします……!」

やはり通話から。まあいいだろう。

「オッケー。ただ、いま電車だからもうちょっと待っててね。LINEできる?」

とのことでこのタイミングでLINE移行。やり取りを続ける。

その間、僕は移動しながら通話の場所をどこにすべきか考えていた。カラオケか個室ビデオボックス等が望ましいが、その後のアプローチを考えるとなるべく相手の家に近い場所が良いだろう。

チホの家は西武新宿線沿線と聞いていたので、やはり新宿はベストだ。というと、プリンス近くのボックスかな…。

 

狙いを定め、入店。即LINEで「通話オッケー」の旨を送る。ほどなく着信が入り、チホとの初通話が始まった。

「どうもどうも。はじめまして、こんばんは。大丈夫?」

「…はーい、はじめまして。ありがとうね。」

「緊張してる?」

「うん…。ちょっとね。えへへ。」

やっぱりネット弁慶。それにしても舌ったらずなしゃべり方だ。

「アプリでやり取りしてるときとテンション違うね(笑)」

「よく言われるー(笑) あっちだとテンション高いんだけどねー。

実物はおっとりしてるって。」

「そうなんだ、でも可愛い声だと思うよ。」

「えへへ。」

「それで。どうしたの、今日はいきなり。びっくりしたよ(笑)」

「うん…。」

ここから悩みヒアリング&ひたすら同調ターン。

 

要約すると、

・結婚して2年、旦那と一度もセックスしていない。

・旦那は「性欲がない」「添い寝するだけで満足だよ」と言い訳していたが、

   先日、旦那のPCの履歴にXvideoを発見してしまい大変なショックを受けた。

・旦那とレスの2年間、誰ともしていない。

・アプリ経由で会った人は2人ほどいるが、食事止まり。

・誰にも求められず、自分の存在は何なんだろうと落ちに落ちている。

とのこと。

 

これらにひたすら同調&同調。

「そうだよね」と、適度に1フレーズ加えるオウム返しを繰り返す。

さらに向こうに心を開かせるための自己開示で、妻とのレス(嘘)や悩みの話もする。

 

一通り話すなかで、向こうも気分が盛り上がってきたのか

「シンちゃんにあってみたい、でも会ったら抑えられないかも」

というので普通に

「じゃあこれから会おうか」と返し、あっさりとアポ成立。

ボックスを出て、電車で待ち合わせの駅へ向かう。

 

この時点で21時やや過ぎ。合流からはノーグダでテルーホインできるはずなので、試合時間を2時間取っても終電には間に合う。時間繰りは完璧だった。

懸念は対戦相手の質である。

写真交換はしていない。アプリやLINEのアイコンの画像は風景とかそんなんだった。

さらに旦那に2年求められていないとか、アポが食事止まりとか、完全に地雷臭しかしない。突然のチャンスとSEIYOKUに煽られてついついここまで来てしまったが、冷静に振り返るとこれでよかったのか。 

とはいえ、見送ったら見送ったで後悔するに違いない。とするとこの待ち時間ですることは一つ。

 

覚悟である。

 

待ち合わせの駅改札前に立ちながら、行き交うブスを眺めて心の準備をする。

大丈夫。これまでだって美人とばかり会ってきたわけじゃない。むしろ残念な方が多かった。大丈夫。過去の案件を思い浮かべる。あ、ちょっと勃ってきたこれダメだ。

切替えて、地雷だった風俗嬢を思い浮かべる。

上野のピンサロ…ひどいデブス…臭い髪…乱雑な歯…横柄な態度………急激に萎える。これだわ。でもこのクラスが来たらさすがに無理だわ。逃げよう。

 

そんな逡巡をしていると不意にLINEの着信が入る。近くに着いたらしい。

どれだ。気になる。でも見たくない。どうしよう。ああ、現実が怖い。

下を向いて俯いていると、背後から急に

「お待たせしましたっ(ハァハァ)」

と、息切れかけた声がかかり、恐る恐る振り向くとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さいゴブリンが立っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、その後テルーホではゴブリン自ら「恥ずかしいから灯り消して///」と言うので好都合とばかりに完全な暗闇にし、2発やりました。やったんかい。

 

ゴブリンはマグロでした。

 

事後、LINEが幾度か届きましたが素っ気無い返事をしていたら止まりました。

 

大丈夫、まだ夏は残ってる。

慌てるような時間じゃない。

 

ブサクエを追悼していたら僕自身がブサクエしてしまった。

大丈夫。これも経験。大丈夫。ばかなべさんありがとう。

ブサクエがなければ受け止め切れなかったことでしょう。

自らブサクエした。これはクエストなんだ。

そう整理することで気持ちを落着けることができました。

よろしくオナニーします。

 

 

今回、こちらからは以上です。